下り坂の通訳業界で、誰が生き残るのか
消えゆく産業の通訳で、これから残る人はどんな人?
最近ふと、通訳という仕事について考えることがあります。
私は通訳は「これから小さくなっていく産業」だと思っています。
AIの進化もありますし、昔のように「通訳がいないと何も始まらない」という時代ではなくなりました。
この先、通訳という仕事が完全になくなるのか、それとも市場は小さくなりつつも残るのか。
それは正直、まだ誰にも分かりません。
でも、その中で
「じゃあ、どんな通訳が残るんだろう?」
ということは、たまに考えます。
リーマンショックの話から思い出したこと
以前聞いた話で印象に残っているのが、リーマンショックの頃の金融業界の話です。
新卒で外資系金融機関に入った方がいて、部署の中で最後まで残ったのは
一番上の人と、一番下っ端の若手だった、という話。
真ん中の層は、人件費の関係でどんどん切られていった。
この話、もしかすると通訳業界のこれからにも少し似ているのかもしれないなと思いました。
AIに置き換わるラインは「精度」と「コスト」
通訳がAIに置き換わるかどうかの判断基準は、
結局のところ「費用」と「便利さ」だと思います。
多少のズレがあってもいい、
コストはできるだけ抑えたい、
そのためならAIを使う。
こういう場面では、これからどんどんAIに置き換わっていくと思います。
一方で、
絶対に失敗できない
責任の所在をはっきりさせたい
ここは人に任せたい
そんな場面では、今のところ
「めちゃくちゃレベルの高い人間の通訳」を呼ぶ価値がある。
司法の現場や、落とせないビジネスの交渉などは、まさにそうだと思います。
裾野として残る通訳も、たぶんある
もう一つ残るのは、いわば裾野の通訳。
「知り合いの息子さんが英語しか話さないから、ちょっと来てほしい」
「普段は通訳なんて使わないけど、今回は誰かに頼みたい」
こういうケースは、これからもなくならない気がします。
専門性はそれほど高くなくても、
言語ができる人がその場を助ける。
報酬は高くないかもしれませんが、
AIを学ぶコストや手間を考えると、人に頼むほうが早い。
そういう需要は、細く長く残りそうです。
いちばん削られやすいのは「真ん中」かもしれない
私が一番厳しいと思っているのは、真ん中のゾーン。
それほど高い精度は求められていないけれど、
かといって「誰でもいい」わけでもない。
このあたりは、
「AIで十分」
「AIを覚えたほうが安い」
という判断が入りやすく、これから入れ替わりが起きやすい気がしています。
それでも、私は上を目指していきたい
正直、下り坂の産業で仕事を続けるのは簡単ではありません。
でも、だからこそ
流れに逆らってでも、もう少し上を目指してみたいなと思っています。
すごく少数かもしれないけれど、
「この場面は、あなたじゃないと困る」
そう言ってもらえる通訳でいられるように。
消えゆくかもしれない産業の中で、
どこまで泳げるか分かりませんが、
もう少しだけ、この流れの中で踏ん張ってみようと思います。
